世界遺産・熊野速玉大社のナギ Nagi in 熊野
「ナギ」は縁結びのご神木
日本有数の巨樹、美しい姿は女神のよう
DATA of TREE
▽樹種:ナギ(マキ科・常緑高木)
▽学名:Nageia nagi
▽樹齢:約1000年
▽樹高:約20m/幹周り:約6m
▽所在地:和歌山県新宮市新宮1 熊野速玉大社(世界遺産)
※国指定天然記念物」(1940(昭和15)年2月10日指定)
【木の特徴】
熊野三山の1つ、熊野速玉大社の参道脇に立つご神木。樹高約20メートル、これほど美しい樹形のナギを見たことがありません。まさに神宿るナギです。根は1本ですが、途中から数株に分かれ、四方八方に伸びています。
1159(平治元年)、社殿の落成のとき、熊野三山造営奉行であった平重盛の手植えの木と伝えられています。
ナギは、熊野杉や天台烏薬(てんだいうやく・クスノキ科)とともに新宮市の「市の木」に指定(2018年5月20日撮影)
★この木を見るポイント⇒根は1つ、途中から数多くの枝に分かれる美しい樹冠。 (2018年5月20日撮影)
【ナギとは?】
ナギは「凪(なぎ)」に通じることから、葉は船旅、旅立ちのお守りとされてきました。ナギの実を束ねたものやナギの枝を護符にします。古来、女性が鏡の裏にナギの葉を入れる習わしがあります。これは「凪」の意から男女間に波風が立たないように。また、ナギの葉は切れにくいため、縁が切れないようにという願いが込められ、会いたい人の姿が鏡裏に浮かぶと言い伝えられてきました。縁結びのご利益があります。
【この木に会いに行こう!】
JR「新宮」駅からバスで約5分。熊野速玉大社の熊野神宝館のちょうど向かいに立っています。
【歴史を伝える】
2004(平成16)年7月7日、熊野速玉大社は「紀伊山地の霊場と参詣道」として、世界文化遺産に登録されました。主祭神は、熊野速玉大神(いざなぎのみこと)と熊野夫須美大神(いざなみのみこと)。書物『熊野権現御垂迹縁起』(1164年長寛勘文)などによると、熊野の神々は初めに神倉山の磐座(ゴトビキ岩)に降臨されました。その後、景行天皇58年(西暦130年頃)、現在の地に新しい宮を造営して遷(うつ)られたことが記されています。神倉山の元宮に対し、この地は「新宮」と号されました。(参考文献:熊野速玉大社ホームページ)
★写真/神倉神社。上左:熊野の神が最初に降り立ったという神倉山の頂上にはゴトビキ岩。上右:頂上からの風景。下左:神倉神社へと登る538段の急な石段。下右:神様がいらっしゃる磐座。地元の人は社殿ではなく、その右手、こちらでお参りをする。